おそらく最初で最後のリリース??赤いヴァンジョーヌ??届きました。
『San Calcarot サン・カルカロット』
サン カルカロットという名前、実はオータさん(インポーター・ヴィナイオータの社長)が考えたものだったりします。高樹齢のバルベーラ&ボナルダで造るワインの現在の名前がカルカロット、2011ヴィンテージ当時はカゼロッソという名前でリリースされていました。ジュラ地方のワインが大好きなアルベルト、カゼロッソ2011を1樽だけボトリングせず、一切ウイヤージュ(樽熟成中に蒸散し、目減りしたワインを補充すること)を行わず、酸化的熟成を施すことに…。今年の2月に彼を訪問した際に始めて飲ませてもらったのですが、これが素晴らしく美味しい!!そのまんまな表現で申し訳ないのですが、まさに赤いヴァンジョーヌ!!!!
「量も少ないし、ヒサトが興味あるんなら、全部お前に売るけど。で、名前どうしたらいいと思う?」とアルベルト。
「そんなのサン カルカロットに決まってるでしょ!」と即答する僕。
イタリア人のアルベルト的には、“聖”を意味するSan(サン)をカルカロットという言葉の前に付けただけのように思ったでしょうから、説明するまでオータの意図など知る由もなかったわけですが、皆さんはもうお分かりですよね??酸化したカルカロットで、サン カルカロット…(笑)。アルベルトの好奇心の賜物とも言えるワインを皆さんも楽しんじゃってください!
(インポーターから抜粋)
ワイン名:San Calcarot サン・カルカロット 赤 500ml
生産者:アルベルト・アングイッソラ
産地:イタリア エミリア・ロマーニャ
品種:バルベーラ、ボナルダ
【アルベルト・アングイッソラ】
国際的なスプレー缶製造メーカーで働きつつ、ワイナリーを運営していた兼業農家のアルベルト、2011年12月、日本からの帰国早々に会社から、彼の働いていた工場を2012年1月に閉鎖することを決めたと告げられます。そしてアルベルト個人には、他の2工場でのより高い役職のオファーがありました。良い話のように聞こえますが、大きな問題点が…それら2工場が彼の住むピアチェンツァから200km離れたところで、とても通える場所でないという…。
もうしばらく働き続けてワイナリーに投資するためのまとまったお金を稼ぐか、それともサラリーマン生活にピリオドを打って専業農家となり、ワイン生産だけで生活していくかという大きな選択肢を突き付けられます。
まだ決めかねているという状態の時にもらったメールにはこんなことが書かれていました。
ブドウ栽培とワイン生産だけで生きていくという事、つまり生きていくための糧の獲得手段をすべて自然に委ねることで、より多くの教訓、そして大きな喜びが得られるって気がしているんだ。そして恐らく、家族が普通に生活していく位は、どうにかなるんじゃないか…ともね。
その3週間後に、やっぱワインだけで生きていくことにしたわ!というメールが届きました。この選択を予想はしていたのですが、それが今後の彼のワインにポジティブなものをもたらすことを確信している僕としては非常に嬉しかったです。この事とは関係なくですが、同時期にワイナリーとして大きな出来事が2つあります。 まずは2012年に、ワイナリー近くに1ha強のピノ ネーロを植えます。数年後には、彼のピノのスタンダードライン、カゼの生産量が増えることになると思います!
もう1点は2011年から、ワイナリー近くの、後継者に恵まれずに栽培放棄されそうになっていた高樹齢の樹が植わる区画を借り始めたこと。赤品種はバルベーラとボナルダで樹齢50年以上、白品種はマルヴァジーア、モスカート、オルトゥルーゴ、マルサンヌで樹齢40年以上にもなり、品質の良いブドウが獲れるのに放って置くのはもったいないというのもありますが、それ以上に高樹齢の樹を人が手をかけつつ維持すること自体が文化継承(の望みをつなぐこと)になるという思いがあったのだと思います。
この区画のブドウから、白は4品種を混醸、8-10日間の軽い皮ごとの醗酵を行わせたワインを、赤はバルベーラ&ボナルダという伝統的なセパージュでスティルワインをメインに造り、地場消費も目論んでかこの地域一帯の伝統に根差した微発泡性ワインも実験的に造っています。
(インポーター資料より抜粋)